数学者の藤原正彦さんを知っていますか。

この人は、作家の新田次郎と藤原ていさんの息子で、大学の教授なのですが、エッセーも書き、ていさんの後を引き継いだのか昨年まで新聞の身の上相談もしていたのですがこの人の書くものは本音が出ていてなかなか面白いです。

フリーマーケットで、たまたま彼の本『遥かなるケンブリッジ』を見つけたのが彼との最初の出会いで、その頃イギリスは私の憧れの国でね、むろん今でもそうなのですが。

つまりタイトルに惹かれて購入したのですね。
それが読んでみたら面白くて、それから彼のファンになりました。

この本は彼が文部省の長期在外研究員として約1年間ケンブリッジに滞在した時のイギリス見聞禄なのですが、イギリスやイギリス人に対する深い考察などが彼独特のユーモアで味付けされマジメであると同時に大いに笑わせてくれます。

それとケッサクなのは、次男のいじめ問題をはじめ、そこかしこで繰り広げられる奥さんとのバトル。これがまた抱腹もので実に可笑しい。

「それで、次郎はなぐり返しているのか」「なぐり返さないなら、こちらが悪い」「なぐり返すなんて。次郎はやさしい子だから。第一、そんなことで問題は解決しないわよ」「オマエは子供の何たるかを分かっていない。子供の世界は動物と同じで、弱い奴が徹底的にいびられる。一発やられたら二発やり返すことが最善だ」

「そんな野蛮な」「野蛮なことがあるものか。大学で発達心理学を専攻したらしいが、何も分かってない。子供を人間とみなすような学問は屁みたいなものだ。子供は動物だ。残酷な動物だ。ケダモノだ」
「それはあなたのことでしょ」

こういったバトルが至る所で展開されている。

すぐ熱くなる夫と妙に冷静で醒めている奥さんの会話というか、私も似てるんですね、性格が。単純で怒りっぽくて卑怯なことが大嫌いなところが。

同じ野蛮人ゆえか彼のコトバに「ソウダ!ソウダ!」とうなずく私なのである。

もちろん彼に同調する部分もあればそうでない部分もありますがその同化と異質な部分を再認識するのがこれまたとても楽しい。

という訳で私にとっては十分楽しめた本でした。
by rampling | 2004-02-29 12:56 |

マイケル・ナイマンの音楽に誘われて、またみてしまった。

クラシックな雰囲気ただよう作品で、暗く沈んだ色調の映像が素敵。

しかし、これは見た後にさまざまな想いを抱かせられる映画。

男女の性愛が絡んだ複雑な女性心理が展開されている。

女というものの得体の知れなさ。

海辺で、笑顔を浮かべ自由にのびのびと一心にピアノを弾くエイダ。

貧弱な体と硬い表情の彼女しか見ていなかったベインズはすっかり彼女に魅了されてしまう。

エイダは繰り返しベインズの要求に応えているうちに、官能が刺激され、いつしかベインズを愛するようになったのでしょうか。



by rampling | 2004-02-28 13:08 | 音楽

映画『ショーシャンクの空に』これはヨカッタ。

エリート銀行員が妻とその愛人のプロゴルファーを殺した罪でショーシャンク刑務所に収監されてくるところから物語は始まるのですが、しかし彼は本当は無実なんですね、それはストーリーが展開されていくにつれて明らかになっていくのですが…

刑務所の中では彼に絶望的なことがいろいろ襲いかかってくるのですが彼は希望を捨てずに小さなハンマーひとつでコツコツと何十年も穴を掘り続け、終いには脱走に成功するんですね。
ここのところは痛快でした。

冷静に見ていくと「そんなにウマく行くのかなー」という気がしないでもないのですが、まーそれはそれとして、男の友情も描かれてますし、なかなかいい内容の映画でした。

BGMでオペラ『フィガロの結婚』も流れますし、彼の収監年数も壁の女優さんのポスターの変遷で読みとれたり、一番最初はリタヘイワース、次はマリリンモンロー、最後はラクウェルウェルチ、なるほどなあと感心しました。

シュンときたのは終身刑の老人が仮釈放になり出所するのですが、本当は喜ばしいはずなのにあまりにも長くここにいたせいか外の世界に出るのが怖いんですよね。

自分が入所した時とは違い外の世界はめまぐるしく変化してるし、そして出所した時すでに彼は老人になってる訳だから…やがて彼は自ら死を選ぶのですが。

「終身刑とは人生を殺す刑なんだ」とつぶやいていたのが心に残りました
by rampling | 2004-02-27 15:25 | 映画 ・ドラマ

むかしの男(^^)   

ずーっと昔に読んでまだ記憶の隅に残っている男たちはいますか。

私はC・ブロンテ『ジェーン・エア』のロチェスター氏、原田康子『挽歌』の桂木さん、それとレマルク『凱旋門』のラヴィック、ヘミングウェイ『誰がために鐘は鳴る』のロバート、見かけはクールで内実は熱い男がサイコーでした。

でもラヴィックもロバートも戦時下の緊迫した状況での個性ですからね、果たしてこの平和な時代に彼らを置いたとして同じく魅力的かどうかは疑問ですが。

それとサガン『ある微笑』のリュック、本当はただの女たらしなんだけど若い娘にとっては男のもつ大人の匂いというか雰囲気に幻惑されてしまうんですよね。つい魅せられてアレヨアレヨといってるうちにダマされて。

同世代のたよりなく、一味足んない男の子も彼の年代になればそういう雰囲気のある男になるんだけど。

若い時は誰しも一回はこういう男につかまっちゃう。そして傷つき大人になるのです。私もそうだった。

そしてオースチン『高慢と偏見』のミスターダーシー。私はこういう高慢で偏屈で無愛想な男も好きでした。

でも私が一番好きだった男は森茉莉『恋人たちの森』のギドウや『枯葉の寝床』のギランのような知的で淫蕩である種の高級さがある男たちでした。
by rampling | 2004-02-26 15:52 |

映画『半落ち』

映画『半落ち』を観てきた。

最初から警察幹部による警察官の不祥事の隠蔽工作シーンが長々と続き、あら、これは警察組織の内部争いの映画だったかしらと思ったが、そのうち事の次第が明らかになってきた。

しかし、この映画はあくまでもアルツハイマーの妻を殺してしまった元警察官の男の自首するまでの空白の2日間に焦点を当てて描かれているせいか、肝心の殺人に至る過程がいまいち盛り上がりに欠ける。

アルツハイマーに冒されてしまった妻のとまどいや不安、恐怖、妻の病状に四苦八苦する夫の必死さ、切羽詰まった感情の吐露が観ているこちら側に迫ってこず、殺人という結果に至るまでの心理に描写不足を感じ得ない。

映画を観ていた友人や回りの女性達は皆ハンカチで涙をぬぐっていたが、私は消化不良気味で涙は出なかった。
by rampling | 2004-02-25 16:28 | 映画 ・ドラマ