イギリスの女流作家アイリス。
男友達も多く、自由で奔放だった若き日のアイリス。
今は一つ一つ記憶を失っていく恐怖 の只中にあるのだが、アイリス本人は勿論、夫も妻の異常を認めようとはしない
自ら健在の証を求めるかのように書く。書かねばならない。書けなくなったらお終い。
やがて医者の単刀直入なことばで観念する二人。
無表情。無関心。噛み合わない会話。
自分の部屋も、ドアの開け方も、あれほど好きだった泳ぎさえも忘れてしまったアイリス。
ついに徘徊が始まる。
ショックを隠しきれない夫。
夫は懸命にアイリスの面倒をみるのだが、ふとしたところに男の鈍感さを見せつけられる。
やがては施設に向かうことになるアイリス。
無神経な夫の言葉に傷つき昔の親友と静かにダンスを踊るシーンが印象的。
女同士のいたわりに満ちた優しさ。
夫役のジム・ブロードベントの目の演技が見事でした。