これはスコットランドの女王メアリー・スチュワートの波乱に満ちた生涯を描いたもの。
この人はメアリーという同じ名のためにメアリー1世(Bloody Mary血まみれメアリー)とよく間違えられるのだが、これは違うのよ。
わたしはイギリス史の中でもヘンリー7世から始まりエリザベス1世で幕を閉じるチューダー朝に一番興味があるのでこの本を選んだの。
内容としてはイングランドのフォザリンゲイ城で幽閉中のメアリーがスコットランドにいる息子のジェームス6世に宛てた手紙の中で母の人生と夫でありジェームスの父親であるダンリー殺害に対しての無実を切々と訴える内容になっている。
だが、結局メアリーは夫のダンリー殺害とエリザベスへの反逆罪で断頭台の露として消えることになる。
この本ではボスウエルは善人として描かれているが、わたしが他の本で読んだボスウエルはマレー伯と共謀してダンリーを殺害し、その罪をメアリーに着せ、その上今度はマレー伯を裏切り、メアリーと結婚をして、彼女をさんざん利用した揚句、自分が危うくなるとメアリーを捨てて自分だけさっさとデンマークに逃げた悪党と記憶しているんだけどね。
あくまでもメアリーの女心がそれを認めたくないのかしら。
エリザベスへの反逆罪(バビントン事件)も仕組んだのはエリザベスの側近のウオルシンガムとバーリー卿(ウィリアム・セシル)でメアリーはカソリックとプロテスタントの宗教対立に巻き込まれただけで、処刑に関してもエリザベスは迷いに迷って積極的には決断を下していないのね。
なんというかね、いつの時代にもこういう歴史の波に埋もれ消えていった人間は数知れず。
無念な思いが伝わってきて、なんとも気の毒な思いがするね。