「すぐ死ぬんだから 」  内館牧子

これは面白かったです。
星4つね。★★★★。


年を取れば、誰だって退化する。
鈍くなる。
緩くなる。
くどくなる。
愚痴になる。
淋しがる。
同情を引きたがる。
ケチになる。
どうせ「すぐ死ぬんだから」となる。
そのくせ、「好奇心が強くて生涯現役だ」と言いたがる。
身なりにかまわなくなる。
なのに「若い」と言われたがる。
孫自慢に、病気自慢に、元気自慢。
これが世の爺さん、婆さんの現実だ。
★この現実を少しでも遠ざける気合と努力が、いい年の取り方につながる。
間違いない。
そう思っている私は、今年78歳になった。
★六十代に入ったら、男も女も絶対に実年齢に見られてはならない。

コレらを肝に命じ、オシャレをし、鼻息荒く大道をずんずん歩いて行くハナさん。

夫からは「ハナは若いし、おしゃれだし、お前は俺の自慢だよ。俺、人生で一番よかったのは、ハナと結婚したことだな」と嬉しがらせを言ってもらえるこのわたし。

街を歩けば素敵なシニアの写真を収めている「月刊コスモス」に、ぜひモデルをお願いします」と声をかけられるこのわたし。

我が世の春である。

すっかり気を良くし鼻高々で高校の『大台間近の同期会』へ出かけて行く。

そこでその昔学生時代のマドンナとその腰巾着の変わり果てた姿を目にし、またまた気を良くするこのわたし。

バアサンくささに磨きがかかっている二人に「若さを磨けよ。まったく。老化に磨きをかけてどうする。」と心の中で悪態をつき、立派な脱皮を遂げたハナさんは二人の嫉妬に燃える視線に気を良くし帰ってくるのだが。

しかし、そんなハナさんに青天の霹靂の出来事が待っていた。

それは夫の死。
そして夫の裏切り。
夫には愛人がいた。
そして子供までも。

夫は平気で四十年もわたしを裏切っていた。
結婚以来死ぬまで五十五年間ささやき続けてくれた、あんな熱い嬉しがらせの言葉は一体ナンだったのか…。

妾と会ってののしりあうような、田舎くさい女になろうとは思わない。
と誓うハナさんであったが、結局は息子と向こうへ乗り込み、言いたいことはすべて息子に言わせ溜飲を下げるハナさんだった。
しかし、ラストは意外にもシュンとした締めくくりになっている。


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by rampling | 2018-12-09 19:19 |

わたしの思ったこと、感じたこと、観たドラマのことなどなど。


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